今日、私たち精神疾患の当事者、
ケアラー、市民、専門職は、
HeAL国際宣言に賛同し、その宣言の定める目標が、
我が国においても真に実現されるよう、
行動を開始することを宣言します。
さらにその理念を発展させ、精神病性疾患の若者に限らず、
心の健康の不調を経験している
すべての人々の身体的健康を尊重し、
求めに応じて支援を提供できる社会の実現を目指します。
心身の健康を求め実現することは、
すべての国民の基本的権利であり、
地域や社会の発展の基盤でもあります。
この基本的権利をすべての人々に等しく保障し、
誰もが自分らしい心と体の健康を主体的に保持し
増進できる社会の実現が求められます。
心の健康と身体の健康は、
互いに支えあう不可分な関係にあり、
一方に不調が生じれば、もう一方にもその影響が及びます。
心の健康の危機は、
同時に身体の健康の危機でもあり、そこからの回復には、
心と身体の両面への統合的支援が不可欠です。
しかしこれまで、
人々が心の健康の不調や危機に直面した際、
また、そこから回復しようする際に、
自らの身体的健康を保持し増進するために
必要な情報や機会や支援を得ることが
困難な状況が続いてきました。
統合失調症をはじめ精神疾患を
経験している人々が直面している
「身体的健康の不平等」が長く見過ごされてきたのは、
こうした社会の歴史を背景としています。
今、この問題を直視し、
それを克服するための一歩を踏み出すことが
求められています。人々が心の健康を損ねても、
身体的健康を求める権利が十分に尊重され、
また身体的健康を実現できる社会を作りあげる、
そのための具体的な行動を起こすべき時がやってきています。
精神保健医療サービスの場において、
すべてのユーザーやケアラーが、
「自分(や自分の家族)の身体的健康が
十分に尊重されている」と
感じられる社会を実現する必要があります。
そのために、精神保健医療福祉サービス提供者が
身体的健康についての意識と臨床実践を向上させ、
また、ユーザーと提供者の間の身体的健康に関する
コミュニケーションを改善する取り組みを推進します。
また、心の健康の
危機を経験している人々が抱える
「身体的健康の不平等」を引き起こす
社会的・生物学的な原因とメカニズムを解明するための
研究を推進する必要を積極的に訴えます。
こうした研究の重要性が周知され、
多くの研究者がこの課題に積極的に
関与することを推進します。
さらに私たちは、精神保健医療福祉関係者のみならず、
身体的健康に関わる関係者や広く国民の関与を高めるための
「啓発」の取り組みを推進します。
人々が自分らしい心と身体の健康を
主体的に保持しさらに増進し、
自分らしいリカバリーへの道を歩むことができる社会を
実現できることを願い、
今日、私たちは以上の重要な課題に
取り組むことを宣言いたします。
2014年11月20日
HeAL Japan Initiativeワーキング・チーム
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